今回は語句の説明をします。
「応力度」についてです。
応力度ってなに?応力と何が違うの?
これまでの記事で「応力」については解説してきました。
応力については下の記事を参照
簡単に言うと
「応力」=部材内に働く力
ということでしたね。
また、それに応じて応力図というのも描いてきました。
しかし今回は「応力」ではなく「応力度」です。
何が違うのでしょうか?
応力度とは
応力度というのは【断面の単位面積あたりに作用する応力】のことです。
どういうことか、図を見てみましょう。

〈太い矢印が応力、細い矢印が応力度です。〉
断面に等しく応力がかかっていると仮定しますが、ある一定の範囲内(たいていは1㎟か1㎡)にかかっている力のことを指しています。
そして、応力度には主に3種類あります。
「垂直応力度」「せん断応力度」「曲げ応力度」です。
計算方法や公式などはこの記事で後ほど解説していきます。
もっとわかりやすく応力度を解説すると…
例えで考えてみましょう。
鉄でできた太さの違う二つの円柱があったとします。
それぞれを同じ大きさで引っ張るとどうなるでしょうか?

もちろんどちらも少し伸びますが、伸び率というのは変わってきます。
細い方が太い方より多く伸びますよね。

つまり、断面積の大きさによって変形の度合いは変わってくるんです。
では、断面積も違うし材料も違う場合はどうでしょうか?
同じ大きさで引っ張ったとしても一概に変形量だけでは判断できないですよね。
変形量が少ないからといって、絶対その部材の方が強いとは限りません。
部材の変化量を正確に比べるには、断面積に応じて加える力を変える必要がります。
その時にこの応力度というのが役に立つんです。
応力度が分かると、断面積が違くても断面に応じて加えている力の大きさが一瞬で分かり、それと部材の変化量を比べると、部材の強度や粘りというものをすぐに比較できるのです。
応力度の計算方法(公式&例題)
垂直応力度
垂直応力度とは、断面に対して垂直に働く力
つまり軸方向力にかかる力の応力度のことを指しています。
先程図で出したものが垂直応力度です。

引っ張りなら引張応力度
圧縮なら圧縮応力度
といいます。
そしてこれは公式があるのでしっかりと覚えましょう。
単位は応力と同じく圧縮が(-)、引張りが(+)となります。

σ:垂直応力度[N/㎟,kN/㎡]
N:応力[N,kN] (NとPは値は等しい)
P:外力[N,kN](NとPは値は等しい)
A:断面積[㎟,㎡]
例題
各辺が10㎝の正方形の断面を持つ角材に5kNの圧縮力をかけた時の垂直応力度は何N/㎟か
解説
公式に当てはめて解いていきます。
ただ注意するべきなのは、答えの単位がNと㎟になっているところです。
まずは単位を合わせます。
10㎝=100㎜
5kN=5000N
こうしてから公式に当てはめましょう。

より、

=0.5N/㎟
圧縮応力度なので符号はマイナスになります。
よって答えは
=-0.5N/㎟
となります。
せん断応力度
せん断応力度とは、断面をせん断する力の応力度のことを指しています。
せん断応力度は下のようなイメージです。

厳密にいうと、せん断応力度の分布は上のようにきれいにはなりませんが、ここでは概念の理解をしていくということで、計算上断面に等しく力が分布していると考えます。
これも公式があるのでしっかりと覚えましょう。
符号は応力と同様の考え方をします。
(「参考」を参照)

τ:垂直応力度[N/㎟,kN/㎡]
Q:応力[N,kN] (QとPは値は等しい)
P:外力[N,kN](QとPは値は等しい)
A:断面積[㎟,㎡]
参考

例題
各辺が20㎝の正方形の断面を持つ角材に+10kNのせん断力をかけた時のせん断応力度は何N/㎟か
解説
公式に当てはめて解いていきます。
ここでも注意するべきなのは、答えの単位がNと㎟になっているところです。
まずは単位を合わせます。
20㎝=200㎜
10kN=10000N
こうしてから公式に当てはめましょう。

より、

=0.25N/㎟
となります。